おもい出したこと diary

日々の出来事を記録する日記

✿ハツコイ✿

小学3年くらいの頃、兄と一緒に遊んでいた男の子達の中の一人に、少し年上で面倒見がいい少年がいた。

友達が少なかった私は、専ら兄の友達グループに着いて回り、たまに鬱陶しがられていた。
そんな孤立した私の面倒をみていたのが、年上の少年だった。
学年も名前も知らないその少年は、とても優しかった。

兄達に「女は邪魔だー」と、置いて行かれても、その少年は一人残って、べそをかく私をなだめ、私のしたい遊びにつきあってくれるのだ。
遊んでくれる度にだんだん好きになり、その少年が来るのを楽しみにしていた。

ある日、いつものように遊んでもらっていると、少年が私の顔をじっと見つめているのに気付いた。
ドキドキして戸惑っていると、少年は

「君さ、よく見ると・・・」
私は期待して胸の高鳴りを抑えていたら、
「君って、前から思ってたんだけど、よく見ると、サルっぽい顔してるよね!」

「Σ(゜д゜ll)カ゛ーン!!」
少年は続けて

「そうだなー、猿の種類でいうとチンパンジー系かな?うん、やっぱりそう。チンパンジーだ!」

ちょうど間が悪く、兄達が帰って来てこの会話を聞かれていた。
すると、男子どもの反応は敏感で、私を取り囲み

「チンパンジー!HEYチンパンジー!HEY!」

とちょっとしたお祭り並みに盛り上がり始めた。
チンパンコールの中に、あの少年が一番楽しそうにしていたので、居たたまれなくなり、家に逃げ帰った。

 

その夜、まじまじと自分の顔を鏡でみた。
たしかに鼻が上向きで、正面から見ると鼻の穴が丸見えだし、口元の骨格が出っ張り、顎が引っ込んでいる。
少年の言う通り、猿顔で間違いない。

その後、少年が遊びに来ても、自分から会うことはなかった。
淡いハツコイはこうして幕を閉じた。
ヽ(`Д´)ノウワァァァン