まっすぐなひと
私は、累積した悪癖のために「まっすぐなひと」になってしまっていた。
何の事かというと、「ストレートネック」という頸椎の並びが異常な状態になっていたのだ。
猫背や、うつむく姿勢で作業することが多い人がなりやすいらしい。
私の場合は、寝る前にうつ伏せになって本を読んだり、落書きをしていたのが原因のようだ。毎日の楽しみだったのに・・・。
これまで度々寝違えをして首や肩が痛かったり、偏頭痛やめまい、吐き気等が起こっていた。
内科にかかっても異常なしだったが、ついにある朝目覚めると耐えがたい首と肩の痛みがあり、整形外科でレントゲンを撮ってもらうと、素人目にもわかる首の骨の異常。
ストレートネックになると上記した症状が出るのだそうだ。
高校の頃美術部で、人体デッサンの指導をうけた時、横向きの人の姿の首を真直ぐに描きがちだが、人の首の骨は前傾に緩やかなアーチを描いているので、真直ぐ描かないようにと指導されたのを思い出した。
しかし、私の首の骨は見事に真直ぐなのだ。定規でも当てたみたいに!
お医者さんもみごとな整列具合に苦笑いで
「重症のストレートネックですね。今の酷い痛みもこれが原因ですね。」
すぐに、看護師さんが首のコルセットを持ってきて私に装着した。
「ストレートネック自体は病気ではないので、無症状の人もいます。しかし、多くの人が肩こりや首こりを自覚します。酷くなると、首の神経を圧迫して頸椎ヘルニアを起こしかねないので、しばらく安静にしてコルセットを装着して下さいね。そして、来週必ず受診してください。」
と言われ、湿布薬と痛み止めの内服を処方してもらい帰宅した。
速攻で痛み止めを飲み、湿布薬を貼るも、まるで痛みが取れない。
呼吸をしてもその振動で痛い。こんな具合だとせっかくの休みだというのにたまった洗濯や掃除、食事作りも冷や汗が出てできやしない。
たまりかねて、病院に、
「処方していただいた痛み止めも湿布も全然効かないので、もっと強いものがあれば処方を変えていただけませんか?」
と問い合わせたところ、医師が、
「その痛み止めで効かないということは、そうとう重症です。本来は入院してもらおうか迷っているところです。家の片付けとか諦めて、その酷い痛みが消えるまでは絶対安静です。」
と言われ、予想外の重症度に驚いてしまった。
しかし、痛いのは首と肩だけで、足は何ともない。
今まで続けた軽い筋トレでつけた筋肉を落としたくない。
で、思わず出た言葉が
「あの、首と肩は凄く痛いんですけど、下半身は元気なんです!!」
少し微妙な空気になった。
しまった、下半身って言ったら変な意味になるから、足腰って言えば良かった・・・。
と後悔しても手遅れ。
医師「とにかく次に来院されるまで安静にしていただいて、その時も事態が変わらない時は、もっと専門的な病院を紹介するなり、入院を検討するなりしましょう。来週、必ず来てくださいね。」
ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン
首じゃなくて、心が真直ぐなエンゼルみたいな人になりたかったよ・・・。